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ワーケーションって日本人が作ったの?

ワーケーション、workation、ちょっと前に政府がGo To トラベルキャンペーンとからめて大々的に発表していましたね。(NHKニュース) このワーケーションという言葉をめぐって、Twitterでは“日本人が勝手に作り上げた和製英語だ”、“Go to travel同様政府が作ったしょぼいキャッチフレーズ”という投稿が拡散してしまいました。 Workation、結構前から存在する言葉なんです このワーケーション、ご存知のようにworkとvacationをくっつけた造語で、さすがに発表されてからしばらくたっているので知っている人も多いと思いますが、実はこの言葉はかなり前から存在して、私自身、何年も前から英語圏の人が使っているのを目にしています。(もちろん、workationという単語を今回聞くまで知らかなかったという英語圏の人もいました) パソコンひとつで仕事ができるIT業界の人達がタイやインドネシアなどに何ヶ月か滞在しつつ仕事する、みたいなシチュエーションで使われています。似た状況を表すdigital nomad(デジタルノマド、デジタル遊牧民)という言葉もあり、どちらもれっきとした英語圏発祥の言葉です。 2つの英単語をくっつけて新しい単語を作るのは日本人の得意技のように思えますが、実は本家本元の英語圏でもこういった造語(portmanteau・ポートマントウというらしいです)はたくさん存在していて、そのうちのほとんどはスラングとして知られています。 普通に日本でも日常使っている単語として、 brunch = breakfast + lunch motel = motor + hotel cosplay = costume + play 最近できた単語では Brexit = Britain + exit “ある土地で話されている独特の英語”という意味で Singlish = Singaporean + English Spanglish = Spanish + English Chinglish = Chinese + English 当然、上記ほどメジャーじゃないですがJapanglishもありますね…。 ネットやTwitterまわりでも造語はあります。 netizen = internet + citizen (ネット住民) twitterverse = twitter + universe (twitterの世界、twitter中すべて、twitter中の人々) tweeple, tweeps = twitter + people, twitter + peeps (twitterユーザーのこと。peepsはpeopleのスラング) このように言葉は生き物です。「日本人がまた変な英語作って!」なんてガミガミせず、もっと気楽に構えたらどうでしょうか。カラオケ(karaoke = 空のオーケストラ)なんて日本人が作ったぶっ飛んだ言葉も今や英語になってますからね。

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トラベルとトラブルの発音は別に似てない

Go To トラベルキャンペーンが非難を浴びているなか、「こんなキャンペーンGo To トラブルだ!」と言っている人がたくさんいますね。日本人ならすぐに思いつく、いわゆるおやじギャグ系のダジャレです(笑) それに関連して、Twitterでは日本人の間でトラベル(travel)とトラブル(trouble)の発音が似ているからまぎらわしい、とか、挙句の果てにはtravelとtroubleの語源は同じだった、とか、はたまたtroubleと発音が似ていて混乱を招くからネイティブスピーカーはtravelという単語を避けて別の単語(tripなど)を使う…などのツイートが飛び交っていました。 上記は全部デマです。 両者の語源は同じでもないし(調べましたし、複数の英語圏の人からも同じではないと回答もらいました)、普通にtravelという単語は使われています(よかったら前回の投稿を見てください)。 ネイティブにとってはtravelとtroubleは全く別の発音 Twitterで日本人の方が言っているのを見る限り、両者の発音の違いはみなさん“ヴェル”と“ブル”の違いだと思っている人が多い印象です。 確かに“v”と“b”の違いはあります。ただし、travelを“トラヴェル”とはあまり言いませんね(少なくともアメリカ英語では)。実際にどう言うか無理に書くと travel→“トゥラヴォ”また、trouble→“トゥラボ” “v”と“b”も判別において大事ですが… “ラ”の音もだいじ カタカナでは表せないですが、“r”の後の母音“ア”の音が別物です。 travelのrの後の“ア(æ)”は、“ア”と“エ”の間の音で、口を思い切り左右に引っ張って言います。若干音は長め。名古屋人の“みゃあ”の音が近いとよく言われます(笑)–––例:land, campなど troubleのrの後の“ア(ʌ)”は、そんなに口は大きく開けず(かといって小さくもなく)、短く「ア」と言います。少し“オ”の音が入った、“ア”です。–––例:love, cupなど ちなみに、Web上、Wikitionaryでの発音サンプルは下記のとおりで、日本人には判別難しいですが、ネイティブスピーカーには普通に違いはわかります。 travel (trˈæv(ə)l) trouble (trˈʌbl) 今回の「Go To トラブル」というダジャレを聞いて、日本在住の英語圏の人は「おもしろい!」と意外そうにうけていました。発音やつづりが違うからそういうダジャレすら思いつかなかったんでしょうね。 「それを思いつくのはカタカナイングリッシュだからだね」「トラベルとトラブルとカタカナで書かれるとむしろどちらかわからない」というような英語圏の人のツイートも目にしました。 参考:発音チェックサイト FORVOhowjsayHow To Pronounce