最近アメリカで、黒人男性が白人警官に殺されるという痛ましい事件がまた起こってしまいました。そしてアメリカではデモから始まって暴動が起きています(暴動に参加している人達、それを主導している団体に関しては諸説ありますがこのブログでは割愛します)。
SNSでも世界中の人が今回に事件をきっかけにハッシュタグを添えて抗議しています。黒人が白人(白人警官)によって暴行される、殺されるという事件があると必ず見られるようになっているハッシュタグです。(詳しくはこちら)
#blacklivesmatter (Black lives matter)
※「黒人の命を大切にしろ」のような意味。この英語の解説については欄外(下部)を参照してください。
SNSでは後から「じゃあアジア人の命は?ラティーノは?ムスリムは?」と言い出す人が出てきます。実際新型コロナ流行の初期、アジア人がかなり人種差別されており、「コロナ!」などと言われ暴行された事件が発生したこともあり、
#alllivesmatter (All lives matter)
#asianlivesmatter (Asian lives matter)
というハッシュタグもときどき見かけます。確かにそうなのですが、あくまでも今回のムーブメントのきっかけはミネソタで黒人男性が白人警官に殺された事件であり、拡張して◯◯ lives matterは今回は控えよう、抗議の意図が伝わらないと言っている人が多い印象です。
黒人に対する差別、アジア人に対する差別
では、日ごろ差別されているアジア系移民は#blacklivesmatterについてどう思っているのか。とSNSをながめているうち、興味深いスレッドに出会いました。アジア系移民の若者が、自分たちの両親や祖父母に#blacklivesmatterの説明をするのがとても難しい、いつもけんかになってしまう、と言っているのです。
だいたいが、両親、祖父母による「なんで黒人の人種差別ばかり取り上げるの?私達は無一文で移民して努力して今の生活を築いた。彼らも努力すればいい」みたいな論調になってしまうらしいのです。日本人である私達も、「確かにそうだよ」と同調するかもしれません。でもそうシンプルではないということが下記のリンク先を読めばわかります。アジア系アメリカ人とカナダ人の若者が自分たちの両親や祖父母に対してわかりやすく#blacklivesmatterについて説明している手紙の日本語訳です。
Letter for Black Lives (手紙)
お母さん、お父さん、おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃんへ。私達にとっても「黒人の人達の命は大切」です by @LettersForBL
アジア人は街を歩いていても警官から射殺される危険はないけど、黒人は黒人というだけでその危険がある。
というのは衝撃です。私の知り合いの黒人のあの人も、この人も、少なからずそう感じているのか、と思うと非常にショックです。みんな日本に来ればいいのに、とまで思いました…。
日本にいると見えにくいですが、日本の外に出ると人種差別について考えされられることが多々あります。それぞれの人種、民族の歴史と深く関わっていて、英語でSNSを使うとその一端を垣間見ることができます。
世界からすべてのレイシズムがなくなりますように。心から願ってやみません。
※解説
Black lives matter…文章としてピンとこない人のために説明すると–––
livesは“life”(命)の複数形で、名詞です。ライブズと読みます。居住するという意味の動詞“live”の三人称単数形のリブズではありません。
次のmatter。日本語に訳しにくい単語ですが、(主に物事が)問題となる、重要である、重要な要素である。もうちょっとわかりやすく言うと、大切にされなければならない、という意味の動詞です。例えば、
It doesn’t matter …そんなことどうでもいいよ(それは大したことではない)
Quality matters more than quantity …量より質(質は量よりも重要な要素である)
なので、Black lives (黒人の命は) matter (大切にされなければならない)という意味となります。